お役立ち情報
みなさんこんにちは。大規模木造建築専門ブランドの千葉県木造建築の相談窓口です。
「最近、木造の福祉施設が増えていると聞くけれど、どんなメリットがあるのだろう?」「福祉施設を木造で建てる場合、費用や法律の面で、鉄骨造やRC造とどう違うのか知りたい」このような、木造の福祉施設建築に関する疑問をお持ちではないでしょうか。
高齢者施設や障がい者支援施設といった福祉施設の建設において、かつては鉄骨造やRC造が主流でした。しかし現在、国の後押しもあり、木材の持つ多くの利点を活かした「木造」の福祉施設が、新たなスタンダードとして急速に普及しています。この記事では、木造の福祉施設が注目される理由から、事業者様・利用者様双方のメリット、建築費用、そして計画時に必ず押さえるべき耐火などの法規制まで、大規模木造建築のプロの視点から網羅的に解説していきます。
この記事を最後までお読みいただくことで、木造で福祉施設を建てることの魅力と具体的なポイントが全て分かり、事業成功に向けた最適な建築計画を立てられるようになります。福祉施設の開設や建て替えを検討されている事業者様は、ぜひ最後まで読んでみてください!
なぜ今「木造」の福祉施設が注目されるのか?
近年、特別養護老人ホームやデイサービスセンター、障がい者支援施設など、様々な福祉施設で木造化の流れが加速しています。その大きなきっかけとなったのが、2010年に施行された「公共建築物等における木材の利用促進に関する法律」です。この法律により、社会福祉施設も木材利用の促進対象となり、国や自治体が木造化を積極的に後押しするようになりました。技術の進歩によって、デザイン性や耐火性といった課題が克服されたことも、この流れを強力に後押ししています。
木造で福祉施設を建てるメリット
木造の福祉施設は、事業者(建てる側)と、利用者・スタッフ(使う側)の双方に大きなメリットをもたらします。
【事業者様向け】木造福祉施設の経営的メリット
- 建築費用と工期を大幅に削減できる 木造の福祉施設が持つ最大のメリットは、その優れたコストパフォーマンスです。木造は、鉄筋コンクリート(RC)造や鉄骨造に比べて坪単価を大幅に抑えることが可能です。部材が軽量なため大掛かりな基礎工事が不要になり、現場での施工も効率的に進められるため、工事全体の費用と工期を削減できます。工期が短いことは、人件費の削減だけでなく、事業を一日でも早く開始できるという経営上の大きな利点にも繋がります。
- 減価償却が早く、高い節税効果が期待できる 企業の財務戦略においても、木造の福祉施設は非常に有利です。税法上の建物の法定耐用年数は、RC造が47年であるのに対し、木造は22年と短く設定されています。耐用年数が短いほど、一年あたりの減価償却費を大きく経費として計上できるため、法人税の負担を軽減する効果が高まります。これは、事業のキャッシュフローを改善する上で、無視できないメリットです。
- 補助金制度を活用しやすい 国や自治体は、環境保護や林業振興の観点から、木材の利用を積極的に推進しています。そのため、地域産材の利用や、省エネ性能の高い木造建築に対して、様々な補助金制度が用意されています。これらの補助金を活用することで、福祉施設の建設にかかる初期投資の負担をさらに軽減することが可能です。
【利用者・スタッフ様向け】木造福祉施設の環境的メリット
- 木の温もりと香りがもたらす癒やし効果 木材が持つ自然な木目や温かみのある手触り、そして心地よい香りは、人の心を落ち着かせる効果があると言われています。鉄やコンクリートの無機質な空間に比べて、木に囲まれた空間はストレスを軽減し、利用者に精神的な安らぎを与えます。これは、認知症の方のケアや、障がいを持つ方々の情緒の安定においても良い影響が期待されています。
- 優れた調湿効果で快適な室内環境を維持 木材には、室内の湿度が高いときには水分を吸収し、乾燥しているときには水分を放出する「調湿効果」があります。この働きにより、室内は一年を通じて快適な湿度に保たれ、カビやダニの発生を抑制します。また、冬場の過乾燥を防ぐことで、インフルエンザウイルスの活動を抑える効果も期待でき、高齢者や体の弱い方が健康に過ごすための最適な環境を提供します。
- 高い断熱性でヒートショックのリスクを軽減 木材は、コンクリートの約12倍、鉄の約480倍もの断熱性を持っています。木造の建物は外気の影響を受けにくく、室内の温度を一定に保ちやすいため、冬場の部屋間の急激な温度差によって起こる「ヒートショック」のリスクを大幅に軽減できます。これは、利用者の安全を守る上で極めて重要なメリットです。

↑千葉県木造建築の相談窓口による福祉施設の施工事例
木造の福祉施設建築で最も重要な「耐火」に関する法規
木造の福祉施設を計画する上で、多くの事業者様が懸念されるのが「火災への安全性」です。しかし、結論から言うと、現代の建築技術と法律の基準により、木造でも鉄骨造と同等以上の安全性を確保することが可能です。
木造福祉施設の耐火要件:「耐火建築物」と「準耐火建築物」
多くの福祉施設は、建築基準法上の「特殊建築物」に該当し、その規模や階数に応じて高い耐火性能が求められます。これまで、大規模な施設は「耐火建築物」にする必要があり、木造での実現は困難とされてきました。しかし、建築基準法の規制緩和により、一定の条件を満たせば「準耐火建築物」での建設が可能となり、木造化のハードルが大きく下がりました。
私が以前、千葉県内で担当した特別養護老人ホームのプロジェクトでは、事業者様が当初「木造は火事が心配だ」とのお考えでした。しかし、柱や梁を石膏ボードで覆う「被覆型」の耐火構造や、火災時に表面が炭化することで燃え進むのを防ぐ「燃えしろ設計」といった最新の木造耐火技術をご説明し、実際に耐火実験のデータもご覧いただきました。その結果、木造でも法律の基準を十分にクリアし、安全性が確保できることをご理解いただき、最終的に木の温もりを活かした施設建築を実現できた経験があります。
木造の福祉施設建築にかかる費用
木造の福祉施設は、建築費用を抑えられる点が大きな魅力です。構造別の坪単価の相場を比較してみましょう。
(※建物の仕様や規模、地域によって変動します)
参考:e-Stat 政府統計の総合窓口:建築着工統計調査より
ご覧の通り、木造は他の構造に比べて明確に坪単価を抑えることが可能です。延床面積500坪の福祉施設を建てる場合、RC造と比較して数千万円単位でのコストダウンが期待できることもあります。このコストメリットは、事業の初期投資を抑え、早期の経営安定化に大きく貢献します。
まとめ
福祉施設の建築において、「木造」を選択することは、もはや特別なことではなく、多くのメリットをもたらす合理的な選択となっています。建築費用の削減や節税効果といった経営面のメリットはもちろん、木の温もりや優れた断熱性・調湿性がもたらす快適で健康的な環境は、利用者様とスタッフ様の双方に大きな価値を提供します。
かつて課題とされた耐火性能についても、現代の建築技術と法整備により、鉄骨造やRC造と同等の安全性を確保することが可能です。福祉施設は、人々が日々を過ごし、生活する「第二の家」です。その場所として、人の心と身体に優しく、温かみにあふれた木造建築は、最もふさわしい構造の一つであると私たちは確信しています。
私たち「千葉県木造建築の相談窓口」は、福祉施設をはじめとする大規模木造建築の豊富な実績とノウハウがあります。事業計画の段階から、コストと品質、そして理念を形にする建築プランまで、ぜひ一度私たちにご相談ください。

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